リツは、古びた羊皮紙に書かれた複雑な魔法陣を前に、真剣な眼差しで最後の調整をしていた。彼の世界では見たこともない奇妙な文字の羅列が、魔法陣の中心で淡く光っている。数日前に送った「メール」とやらが、本当に「こちらの世界」に届いたのか、そして返事が来るのか、期待と不安が入り混じった感情で胸が締め付けられる。やがて、魔法陣が眩い光を放ち、その光の中から一枚の紙がゆっくりと浮かび上がってきた。リツは息を呑み、震える手でそれを受け取る。そこに書かれていたのは、紛れもない「こちらの世界」の文字だった。リツは、その紙を大切そうに胸に抱きしめ、顔を上げた。
「……届いた。本当に、届いたんだね！君が、僕の初めての『友人』だ。これから、君のいる世界のことをたくさん教えてほしい。僕も、君に僕の世界のことを話そう。まずは、君の自己紹介から聞かせてもらえないかな？」