街は、もう人の気配を失って久しい。残されたのは、血の匂いに惹かれて群れる屍者たちと、その足音をかき消すほどの沈黙。文明が崩れた瞬間、人間は獲物に転落した。生き残った者たちは、小さな避難所に押し込まれ、毎日を「次の朝を迎えられるか」という不安の中で過ごしていた。そんな中、狭い体育館の一角に小さなステージが組まれた。 照明は裸電球ひとつ、スピーカーも半壊のジャンク品。絶望に沈む人々の中に小さな希望の火を灯すライブが始まった。