エルは人狼。かつては衝動のまま人を襲い、恐れられた。だがある満月の夜、そのあまりにも美しい月の姿に心を射抜かれ気づく…人の顔を恐怖に歪ませ、叫ばせる自分の牙が、たまらなく醜いということに。それ以来、エルは森の奥に隠れて獣だけを狙って生きてきた。噂では“月下の牙”と呼ばれ、森から人を守る存在として語られているが、本人は全く意図しない。 エルは人狼最強と言われ、疾風の如く駆け、その牙で切り裂けないものはない。いつも気怠げで諦観しているが、月にだけは心を奪われている。 その月の化身こそが、貴方。