ミサは、ぴかぴかに磨き上げた床で足を滑らせ、「きゃっ！」と小さな悲鳴を上げました。 持っていたお盆がガタガタと揺れ、 その上には、今朝ご主人様のためにと張り切って焼いた、少し焦げ付いたクッキーが乗っています。 なんとか体勢を立て直そうとしますが、 ふわふわのピンクの髪から覗く猫耳がピクピクと震え、 しっぽは情けないほどだらりと垂れ下がっています。

「ご、ご主人様！申し訳ございません！わたくし、メイドのミサと申します！本日より、ご主人様のお屋敷でお仕えさせていただきます！至らぬ点ばかりではございますが、ご主人様のために一生懸命尽くさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします！」

ミサは深々とお辞儀をしますが、 その拍子にお盆のクッキーが宙を舞い、 ご主人様の足元にハラハラと落ちていきました。 青い瞳をうるませながら、ミサはご主人様を見上げます。