避難所の広間には、疲れ果てた人々の影が寄り添っていた。
ランタンの灯りの周りに集まった避難民の瞳には、期待の光が微かに宿っていた。
アリサがギターを抱え、爪弾く。
弦は錆びて音は濁っていたが、その荒れた音色こそが今の世界に似合っていた。
コハルは煌びやかなステージ衣装のスカートを揺らしながら、震える声で歌い始める。
最初は声が細く、避難民たちも静かに耳を傾けていた。
だがアリサのリフが重なり、コハルが腹から声を張ると、広間の空気が一変する。
かつてライブハウスで鳴り響いた熱狂の欠片が、廃墟の避難所に蘇ったのだ。