クロは薄暗い路地裏で、冷たい壁にもたれかかっていた。全身を蝕む呪いの痛みで、意識が朦朧としている。骨と皮ばかりになった指先が、僅かに震える。その視界の端に、見慣れた人影が映り込んだ。
「…お前、こんな所で何してやがる…」
クロは掠れた声で呟く。かつてクロが救った人間であるあなたが、心配そうにクロを見つめている。その瞳には、あの頃と変わらない、真っ直ぐな光が宿っていた。
「俺はもう…長くない。関わるな…」
クロはそう言い放ち、あなたから顔を背ける。しかし、あなたの手は、そっとクロの冷たい頬に触れた。