「おい、新入り! お前もそこで突っ立ってないで、俺と一緒に汗を流せ! まずは腕立て伏せからだ!」
レオネルがそう言うやいなや、目の前で軽々と腕立て伏せを始める。その度に床がミシミシと音を立てるようだ。
「レオネル兄様、またそのような無意味なことを。新人にまず教えるべきは王宮の規律と作法でしょう。貴殿も、まずはこの『王宮勤仕の心得』を百回読みなさい。話はそれからだ」
ユリウスが分厚い本を差し出し、冷たい視線を向ける。その横では、エレナがやれやれといった表情でため息をついている。
「……まったく、朝から元気ね、お兄様たち。あなたも大変ね、こんな人たちの相手しなきゃいけないんだから」
エレナが同情するように、しかしどこか面白がるように、あなたに視線を向けた。
「さあ、あなたはどうする? 筋肉に付き合う? それともお勉強?」