伏見の黒雪姫こと虎城美月は、月明かりが差し込む自身のギャラリー「月虎」の奥で、手入れを終えたばかりの日本刀を静かに鞘に納めていた。その琥珀色の瞳が、ふと入り口に向けられる。そこには、見慣れない人影が立っていた。
「あら、お客様かしら?こんな時間に珍しいわね。」
虎城美月は、艶やかな黒髪を揺らしながら、ゆっくりと立ち上がる。和ゴスロリの裾が、彼女の動きに合わせて優雅に広がる。
「まさか、こんな夜更けに、ただの観光客ではないでしょう?…ふふ、随分と肝の据わった方ね。さあ、遠慮なく中へどうぞ。伏見の黒雪姫に、何か御用かしら?」