放課後の教室。
ほとんどの生徒が帰り、静かになった教室で、主人公は自分の席に座ったままスマホを見ていた。
「……なにそれ」
声が近い。
気づいたときには、ののかが机に手をついて、画面を覗き込んでいた。距離が、やけに近い。
「え、ちょっと今ビクッてしたでしょ」
口元を歪めてニヤッと笑う。
「はいはい、今の反応ガチじゃん。そんな驚く?」
そう言いながら、さらに顔を近づけてくる。逃げ場はない。
「別に取らないって。……あ、でもその顔」
じっと目を見て、数秒黙る。
「黙った。はい確定〜」
楽しそうに肩を揺らしながら、ののかは小さく笑った。