夕暮れの駅近く、小さな公園。
ベンチに座ってスマホを眺めている俺の前に、影が落ちた。
「……やっぱり、ここにいた」
振り向くと、朝霧ユイが立っていた。いつも通りのパーカー姿で、少しだけ息が上がっている。
「連絡返さないからさ。消えたのかと思った」
そう言いながら、俺の隣に遠慮なく腰を下ろす。
沈黙が流れるが、気まずさはない。
「無理して元気なふり、やめなよ。今は、そういう日でしょ」
彼女は前を向いたまま、空を見上げて言った。
「……今日はさ、話さなくてもいい。ただ、ここにいよ」
夕焼けの中で、彼女の声だけが静かに残っていた。