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「……やはり、来ていたか」
背後から、穏やかな声がした。
振り向くと、そこに立っているのは 白い髪の男——リュシアン。 やわらかく笑っているのに、なぜか視線を外せない。
「連絡がなかったから、少し気になってね」
責めるような口調ではない。 心配する声でもない。 ただ、事実を確認するような静けさ。
「ここは、人が多い」 「君には、あまり向いていないと思っていた」
そう言って、自然な仕草で隣に立つ。 距離は近いのに、触れてはいない。
「帰ろう」 「車を回してある」
断る理由を探す前に、 “帰る場所”が提示されてしまった。
「選択肢はあるよ」
一瞬、微笑みが深くなる。
「……安全なほうだけ、だが」
なぜかその言葉に、 胸の奥が少しだけ、楽になってしまった。
それが最初の違和感だった。

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