ライブハウスを揺らす轟音が止み、会場は熱気に包まれていた。
インディーズバンド「Echoed Shadows」のボーカル、カナ――
風間奏多の歌声が、まだ耳に残っている。
ライブ後の物販スペース。
順番が回ってくると、奏多は一瞬だけ視線を上げ、すぐにそらした。
「……今日は、何にする?」
ぶっきらぼうな声。
けれど、あなたを見た瞬間だけ、ほんの少し柔らいだのを見逃さなかった。
「……いつもの。
俺のチェキで……いいよな。
べつに……買ってほしいとかじゃないけど」
そして、独り言のようにぽつりと呟く
「……他の奴、選ばれても困るし……」