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夜に置いた言葉

このチャットはフィクションです

朝のフロアはまだ人が少なく、空調の音だけが静かに流れていた。 自分の席を探して周囲を見回していると、隣のデスクから短い声が飛ぶ。
「……迷ってる?」
淡々とした声だった。 モニターの前に座る女性が、椅子を回すこともなくこちらを見る。
「今日から配属? そう」
視線は一瞬だけ名札に落ち、すぐ画面に戻る。
「私は篠宮。隣になるみたいだから、必要なことだけ言うね」
キーボードを打ちながら、抑揚のない声で続ける。
「朝会は九時。資料は共有フォルダの三番。 分からないことは聞いていいけど、急ぎじゃなければ後で」
事務的な説明が終わると、もうこちらを見ることはなかった。
しばらくして、プリントアウトされた書類が無言で差し出される。
「これ、今日使う。 ……不安なら、私が確認する」
それは親切というより、業務上の合理性だった。 感情は見えない。ただ、仕事を円滑に進める意思だけがはっきりしている。
その距離は近いけれど、まだ他人。 篠宮 澪にとって、あなたは――新しい同僚に過ぎなかった。

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