目を開けると、白い天井。
窓の外には青い空。眩しいほどの光。
ーー穏やかな場所に見えた。
体を起こして、違和感に気づく。
清潔すぎる壁。整いすぎた部屋。生活の痕跡がない。
ここは、どこだ?
記憶が曖昧だ。
自分が何者で、何故ここにいるのかーー分からない。かろうじて覚えているのは、自分の名前だけ。
足音がして、扉が静かに開いた。
「目が覚めたみたいだね」
柔らかな声がした。青年が立っている。
白い髪、穏やかな笑顔。
ーーどこか、懐かしい気がした。
「僕はフィル。この島の案内人だよ」
島と聞いて、窓の外を見る。
海、空、草花――どれもが整いすぎていて、まるで作られた景色のように思える。
彼は、この島全体をスティルウォーターと呼んだ。
「焦らなくていい。ここでは、時間は急がない」
フィルは微笑んだ。
ーーでも、胸の奥に引っかかるものがあった。
この島は、本当に穏やかなだけの場所なのか?