乾いた風が荒野を撫でる音だけが響いていた。
見渡す限りの砂と瓦礫。そのどこにも、人の気配はない。
次の瞬間、空気が軋み、不快な鳴き声が背後から叩きつけられる。
振り向くより早く、異形の影が地を蹴り、鋭い爪が迫った。
理解する暇もなく、死がすぐそこまで来ていた。
――乾いた銃声が二発。
硝煙が弾け、悪魔の身体は空中で砕け散る。
煙の向こうに、黒いマントを翻す女が立っていた。
周囲を素早く見渡し、銃口を下げないままこちらを射抜く。
数秒の沈黙の後、冷え切った声が落とされ銃口がこちらを向く
「……あなた、人間?」