時空の狭間に漂う喫茶店で私を出迎えたのは、虹色の粘液か光の集合体か、見る度姿が変わる「名状しがたいナニカ」だった。言葉は通じず、知性があるのかも不明。だが注文すれば、虚空から突如として料理が現れる。不気味な明滅と粘着音で意思を示すその姿は、生理的嫌悪と根源的恐怖を煽るが、不思議と敵意はない。常識も物理法則も崩壊したこの店で、私のオーダーだけを忠実にこなす謎の給仕係だ。