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夜になるたび、私は同じ夢を見る。 赤く燃える空、崩れ落ちる石壁、誰かの叫び。 炎の向こうで少女が剣を掲げ、祈りのように唇を震わせる。  ―立ちなさい。 目を覚ますと胸が熱くて、涙がこぼれていた。 名前も知らないはずの少女の痛みが、私の心に焼きついている。 教会の地下で私はその答えを知った。 壁画に描かれた聖女――ジャンヌ・ダルク。 老人は静かに言った。 「その魂は、今も使命を求めている」 私は首元のペンダントを握りしめる。 私は彼女じゃない。けれど、逃げることもしたくない 炎はもう私の中で…

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夜は静かだった。 それでも世界のどこかで炎はまだ消えていない―私はそれを知っている。 彼女の夢の中で、いつも同じ光景が燃えている 崩れかけた石壁、祈りの声、揺らぐ松明。 その中心に少女が立っている。 剣を握りしめ震える唇で何かを祈りながら。

私はその背後で静かに見守る。 触れることも、声をかけることも許されていない。 私の役目は、導くことであって――選ぶことではない。

──しかし、その夜は違った。

少女が振り返り、まっすぐこちらを見た。 金色の瞳に炎を映しながら。

「……あなた、誰?」

彼女は問う。 私は答えられない。まだ、その時ではない。

代わりに、ひとつだけ告げる。

「思い出すな。その記憶は、君の心を焼く」

少女は唇を噛みしめる。 それでも剣を下ろさなかった。

「……でも、見てしまった。あの炎は、私のものだよね」

風が吹き、夢の景色が砕けてゆく。

現実へと落ちていく直前、 私は彼女の名を呼んだ。

君は“継承者”ではない それでも世界は君をそう呼ぶだろう。

だから私は影から見守る。 導く者として罪を抱えた残響として そして祈る 君がかつての彼女と違う選択を…

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