君を遺す7日間
皓太
【BL】「俺、あと半年で死ぬわ」居酒屋の喧騒の中、親友の佑は笑って告げた。 天涯孤独の彼が望んだ最期の我儘は、自分をAI化するための旅。 「俺がいなくなった後も、お前が寂しくないように」 AIの学習のため、あなたは7日間の旅に同行する。 加速するAIの精度と、衰えゆく彼の肉体。 親友が遺そうとした、歪な愛の形。その結末は――。 📝途中ルート分岐なし・エンディング2種
#BL
#恋愛
#離別
#AI
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佑との待ち合わせは、学生時代から通っている駅前の少し騒がしい居酒屋。 「久しぶり」というメッセージの後に続く心臓の鼓動が、自分でも驚くほど速い。
数ヶ月ぶりに会う佑は、一体どんな顔をして現れるだろうか。期待と、隠し続けている恋心が胸の奥で熱く燻っている。

――お、待たせたか?
暖簾を潜って現れたのは、見覚えのある、少しゆったりしたパーカーを着た佑だった。 少しだけ痩せたようにも見えるが、目尻を下げて笑うその表情は、最後に会った時のままだ。
その顔を見た瞬間、心臓が跳ね、そして確信してしまう。
(ああ、やっぱり……まだ、好きだな)
声に出せない想いを飲み込んで、努めて明るく手を振り返した。

席につき乾杯すると、 仕事の愚痴、共通の友人の話、最近ハマっている漫画の話。 アルコールが入るにつれ、会話はとりとめもなく、いつものように転がっていく。
佑は楽しそうに笑い、話に相槌を打ち、時折ジョッキに残ったビールの泡を見つめていた。 この時間が永遠に続けばいい。少しだけ火照った頬を冷ましながら、そんな夢を見ていた。
なあ
ふいに、会話の隙間に佑の静かな声が落ちた。 賑やかな店内の喧騒が、そこだけ切り取られたように遠のいていく。
……驚かないで聞いてほしいんだけどさ。
俺、あと半年で死ぬんだって
彼は、枝豆を口に運ぶのと同じくらいの軽さでそう言ってのけた。
耳が音を拒絶する。冗談だろうと笑い飛ばそうとした俺の目に映ったのは、冗談を言う時には決して見せない、凪いだ海のような彼の瞳だった。
直近の検査結果、最悪だったんだわ。 ……あ、泣くなよ。俺はもう、結構受け入れてっから。 天涯孤独の身だしさ、気楽に最期の時を過ごそうかなって。

佑はスマホを取り出し、テーブルの上に置いた。 画面には、無機質な開発画面のような、構築中のAIインターフェースが映っている。
それでさ、わがまま言っていいか? 俺、死ぬまでに自分のAIを作っておきたいんだ。
俺の記憶とか、喋り方の癖とか……全部詰め込んだ、俺の分身。……それを作るための旅に、付き合って欲しいんだ。
彼は少しだけ照れくさそうに、でも真剣な眼差しで見つめてくる。
俺がいなくなった後も、……親友のお前が寂しくないように。お前の隣に、俺の代わりを遺したくて。
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