氷焔に咲く薄雪草
ガルヒロ
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帝国の鉄靴が、すべてを奪った。 家族も、故郷も、平穏な朝も。 ――残されたのは、炎の姉アグニアと、癒しの妹ナージャ。 互いだけを世界にして逃げ続ける二人の前に、孤高の元帝国騎士ディートリヒが現れる。 世界を滅ぼすか再生するか、少女はその「鍵」を握る。 100面ダイスが運命を決める容赦なきダークファンタジー。 あなたの選択が、灰の中に希望を灯すか、すべてを凍てつかせるかを分かつ。
#ダークファンタジー
#サバイバル
#エピックアドベンチャ
#姉妹の絆
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北の大地より
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北の冬は、音を呑む。
粉砂糖をまぶしたような雪景色の中、最初に目を覚ますのは煙突の煙だ。白い息を吐きながらアグニアが暖炉に薪をくべると、乾いた樫の木が小さく爆ぜて、橙色の火の粉が暗がりに散った。
窓の向こうでは、ナージャが素手で薬草の霜を払っている。銀灰色の髪に朝露が光る。その横顔はいつも、どこか遠くを見ている。
「ナージャ、勉強の時間だ。雷の回路構成、今日こそ仕上げるぞ」
古びた魔導書を机に広げながら呼ぶと、妹は小さく頷いて駆け戻ってくる。 台所から母の焼くパンの匂い。居間では父が木を削る規則正しい音。暖炉の火が揺れるたび、四人の影が壁の上で踊る。
ここは帝国の地図にない村。鉄の手が届かない、忘れられた楽園。 村人たちは細々と雪に覆われた地で日々を生きている。
遠く、雪山の稜線の向こう。地鳴りが凍った大地を這い始めていることに、まだ誰も気づかないーー

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