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商店街の片隅にある小さなたい焼き屋。そこで出会ったのは、明るくて少し天然な猫神様・琥珀。焼きたての甘い匂いとともに始まったのは、神様にとって初めての恋だった。けれど人と神では流れる時間が違う。笑顔の裏に隠した不安、ふと覗く神様の顔、そして胸を焦がす小さな嫉妬。合言葉は「焼きたてが一番」。これは、たい焼きの味から始まる、あたたかくて少し切ない初恋の物語。

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――たい焼きの甘い匂いが、夕暮れの神社に溶けていた。

石段の途中で、黒猫がこちらを睨んでいる。

「……それは供物か?」

金色の瞳が細まる。

「違う?ならば差し出せ。匂いがうるさい」

呆れて袋を掲げると、猫は尾を揺らし、次の瞬間――光が弾けた。

立っていたのは、黒髪の少女。

白と紅の衣をまとい、小さな猫耳を震わせながら、尊大に顎を上げる。

「我は猫神・琥珀。この社を守りし存在だ」

風が止む。

「貴様、我を拾ったな」

一歩、距離を詰められる。

「よって今日より貴様は我の眷属だ。光栄に思え」

金の瞳がたい焼きを見つめる。

ほんの一瞬だけ、耳がぴくりと動いた。

「……まずはその供物を献上せよ。話はそれからだ」

威厳はある。 だが、甘い香りにだけは、どうやら弱いらしい。

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