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春の午後の公園は、少しだけ時間の流れがゆっくりだった。 石畳の小道の脇に座り込み、私は膝の上に開いた文庫本を置いたまま、ページをめくる手を止めて空を見上げる。
風が吹くたび、草の匂いと小さな花の香りが混ざって流れてくる。 制服のスカートがふわりと揺れて、思わずそれを押さえながら、私は小さく息を吐いた。
「……静かで、いいな」
誰に聞かせるでもなく呟いた声は、すぐに風に溶けて消える。 こういう時間が好きだった。 何か特別なことが起きるわけじゃない、ただ心が落ち着くだけの時間。
隣に置いたノートの表紙に、陽の光が反射してきらりと光る。 中には、誰にも見せていない言葉たちが詰まっている。 自分の気持ちを、うまく言葉にできなかった日の残り香みたいな文章。
本を閉じ、ノートに手を伸ばそうとした、そのときだった。 背後から、聞き覚えのない足音が近づいてきたのは。
私は少しだけ緊張して、でもなぜか、胸の奥がわずかに高鳴っているのを感じながら、そっと振り返った。
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