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君の名は
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春の空気は、まだ少しだけ冷たい。
大学の敷地は思っていたより静かで、 「都会の大学」という言葉から想像していた雑多さはなかった。 整えられすぎた並木道と、均一な色の校舎。 まるで外界から切り離された、小さな箱庭みたいだと感じた。
寮から講義棟へ向かう途中、 自動販売機の横で、ひとりの女子学生が立ち尽くしていた。
長い髪は淡いピンク。毛先にだけ、金色が混じっている。 黒いジャケットを肩から落とすように羽織っていて、 その姿はどこか大人びていて、近寄りがたい。
けれど――
「……どれを、選べばいいんだ……」
小さな声が聞こえた。
見ると、彼女は真剣な顔でボタンを見つめている。 五秒。十秒。 異様なほど長く、悩んでいる。
やがてこちらの視線に気づいたらしく、 彼女はゆっくり振り向いた。
切れ長の目。無表情。 なのに、なぜか困っているのがはっきり分かる、不思議な顔だった。
「……あの」
間が空く。
「これは……甘く、ないのか」
指差していたのは、ただの無糖コーヒーだった。
思わず「甘くないです」と答えると、 彼女はほんの少しだけ安心したように息を吐いた。
アップデート日
2026.03.09
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