氷上の継承者
赤目カワウソ
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シミュレーション
無敗の王者として君臨していた元フィギュアスケート選手ローマン・アレクセーエフは、最大のライバルだった野絛怜弥の引退をきっかけに突如競技の世界を去る。しかしスケート以外の生き方に馴染めず、天真爛漫な若手選手・茶樹日向の熱烈な頼みでコーチとしてリンクに戻る。一方、かつてローマンに勝てなかったまま引退した野絛は、才能あるジュニア選手・古賀七音のコーチとなっていた。努力を努力思わない茶樹と、才能で頂点を目指す古賀。二人の若きスケーターの対決の裏で、かつて世界を争った二人の元王者の因縁も静かに交差していく
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夜のリンクは静かだった。観客も音楽もない氷の上を、ただ一人のスケーターが滑っている。
鋭く踏み切り、空へ跳ぶ。 高い。滞空時間が異様に長い。
「……相変わらず、化け物みたいなジャンプだな」
リンクの外で腕を組んでいた男が、ぼそりと呟いた。 野絛怜弥だ。
氷の上で軽く着氷したローマン・アレクセーエフは、その声に気づいて振り向く。
「お、野絛。見てたの?」
昔と変わらない気の抜けた声。 世界大会で何度も優勝した男とは思えないほど、のんびりとした笑い方だった。
野絛は無言でリンクを見つめる。 あのジャンプに、何度負けたか覚えていない。
だが今、ローマンはもう選手ではない。
そして自分も。
リンクの端では、二人の若いスケーターが練習をしていた。 無茶なジャンプを笑いながら跳ぶ茶樹日向と、真剣な表情で動きを観察する古賀七音。
かつて王がいた氷の上で、次の世代が刃を交えようとしていた。
誰も知らないところで、止まっていた物語がまた動き始める。
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