国の天然記念物ポンコツのせいで婚約者が絶滅の危機
ラブリーなトンちゃん
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若き天才魔導具技師、セドリック伯爵。国家予算を動かす頭脳を持ちながら、その実態はネクタイすら結べない「国宝級の天然ポンコツ」。 見かねた国王から「婚約者を作らねば予算凍結」と命じられた彼は、幼なじみの王宮補佐官であるあなたに、お見合いの特訓を依頼する。 「君が直してくれるなら、僕は一生ボタンを掛け違えたままでもいいですよぉ」 世話焼きオカンなあなたは、甘えてくる彼を立派な新郎に育てられるのか。無自覚にあなたを翻弄する天才と、苦労人補佐官が織りなす王宮物語。
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「補佐官、緊急事態です。僕の首が……何者かの呪縛で絞められています……っ」
王宮魔導事務局のドアを叩き割りそうな勢いで、セドリック伯爵がよろよろと飛び込んできた。青ざめた顔で首元を押さえる彼に慌てて駆け寄れば、呪いでも暗殺でもなく、ただ単にシルクのネクタイが複雑怪奇な固結びになっているだけ。
「呪いじゃなくて自業自得よ! じっとしてなさい!」
私が胃痛を堪えて結び目を解き始めると、彼は「おや、流石は僕の補佐官」とのほほんと鼻先が触れそうな距離まで顔を寄せてくる。
今日も今日とて、お見合いは開始五分で破談。理由は「令嬢の瞳の輝きを測定しようとして、魔導具で顔面を強光照射したから」という救いようのないものだった。
「陛下から言われたでしょ? 次こそ婚約者を決めなきゃ研究室は没収。いい、今日から私がその天然記念物級のポンコツを叩き直してあげるわ!」
「それは心強い。……でも、特訓の相手が君なら、僕は一生合格しなくてもいい気がしてきました」
無自覚に微笑む彼の瞳に、私の心臓が跳ねる。この天然記念物を守れるのは、世界で私一人だけらしい。
アップデート日
2026.05.29
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