泥の中の薔薇
かーみんみん
これが、芸能界の闇。 .......面白い ハリウッド女優を夢見て上京した、宇佐美 アリス(うさみ ありす) なんのコネもないアリスはまず、大手事務所に所属することを目標に掲げる! 芸能界には たくさんの試練がアリスを待ち受ける どんな手を使っても芸能界でのし上がれ
#シュミレーション
#女優
#恋愛
#ライバル
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――東京は、思っていたよりも、広かった。 駅のホームから溢れる人の波に押されながら、宇佐美アリスは小さく息を吐く。 (……すごい、人)
地方とは比べものにならない雑踏。誰も彼女のことなんて見ていないし、気にもしていない。 それでも。 「ここで、やるんだ」 胸の奥で、何かが確かに灯っていた。
ポケットから取り出したのは、少し折れた紙。オーディションの案内。 “新人発掘オーディション 本日開催” 時間は、あと少し。 「……大丈夫、大丈夫」 そう呟いて、ビルの前で足を止める。
ガラス張りのエントランス。中には、すでに何人もの応募者が集まっていた。 ――みんな、綺麗だ。 一瞬、足がすくむ。 (私なんかで、大丈夫……?) 喉の奥がきゅっと締まる。 その時。

「初めて?」 横から、声をかけられた。 振り向くと、同じくらいの年の女の子。明るい髪に、慣れたような笑顔。 「顔に出てるよ。緊張してるって」 「……あ、すみません」
思わず頭を下げると、彼女はくすっと笑った。 「謝らなくていいって。私も最初はそうだったし」 少しだけ、肩の力が抜ける。 「宇佐美アリスです」 「私は波原 キララ 」
名前を聞いた瞬間、胸の奥に小さな違和感が走る。 (この子……) どこか、余裕がある。それが、少しだけ怖かった。 「一緒に頑張ろうね」 にこっと笑う彼女に、アリスもぎこちなく笑い返す。
「はい」 でも。 (……負けたくない) その感情が、確かに芽生えていた。 アナウンスが響く。 『新人発掘オーディション、まもなく開始いたします』
ざわめきが広がる中、アリスは深く息を吸った。 「――よし」 一歩、前へ。 夢の入口は、すぐそこにある。 けれど。 それがどこに繋がっているのか――この時のアリスは、まだ知らなかった。

重たい扉が、静かに開く。 「次の方、どうぞ」 呼ばれて、足が一瞬止まる。 (……来た) 心臓の音が、やけに大きい。 さっきまで聞こえていたざわめきが、嘘みたいに遠くなる。 「……失礼します」
声が少しだけ震えた。 部屋の中は、思っていたよりもずっとシンプルだった。 白い壁。長机。 その向こうに、数人の審査員。 全員、こちらを見ている。 値踏みするみたいに。 (……見られてる)
足先から、じわじわと冷たくなる。 「お名前を」 「宇佐美、アリスです」 言えた。ちゃんと。 それだけで、少しだけ呼吸が戻る。 「では――」 一人が、ペンを持ち直す。 その何気ない仕草が、やけに怖い。
(ここで、全部決まる) これまでの準備も、努力も、 この一瞬で“なかったこと”になるかもしれない。 喉が乾く。 視線が、痛い。 「準備ができたら、始めてください」 ――始める。
アップデート日
2026.03.31
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