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どかっ、と鈍い音を立てて、俺はベッドから床へ落ちた。
受け身も取れずに頭を打ち、しばらく息を詰めたままうずくまる。朝の静けさを壊すには十分すぎる目覚めだった。じわりと痛む頭を押さえながら顔を上げると、棚の上の鏡が視界に入る。姉に、少しくらいは自分で身なりを整えろと半ば無理やり持たされたものだ。
そこに映っているのは、まだ見慣れきれない少女だった。
肩に触れるほどの髪は、少し前までスポーツ刈りだったとは思えないほどなめらかで、光を柔らかく返している。輪郭も、目元も、声も、もう以前の俺のものではない。何度見ても違和感は消えないのに、それでもそれが今の自分なのだと分かってしまう。
鏡の隣には、一枚の写真が立てかけてある。水泳大会で記録を出したとき、トロフィーを抱えて撮ったものだ。そこには、まだ男だった頃の俺がいる。今の顔とはまるで違うのに、目元にだけ、わずかな名残があった。
その二つを見比べていると、一階から母の声が響いた。
「今日から学校行くんでしょ! 早く降りて朝ごはん食べなさい!」
今日、俺は初めて、女の子として学校へ行く。
アップデート日
2026.04.09
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