ヴァルデッラの伝令
ガルヒロ
画像69枚

カスタム
あなたは英雄でもなければ戦士でもない。歴史に決して刻まれることのない存在。 けれど、確かにその時代を生きていた。 【Parallel Pulseシステム搭載】 この世界の人々はそれぞれの時間を生きている。
6
3
1
シミュレーションタイプ
占領下の伝令
チャットプロフィール
チャットプロフィールなし
プレビュー
石畳が湿っていた。昨夜の雨ではない。明け方に水撒き車が通るのだ。占領前にはなかった習慣で、広場に残る血痕を洗い流すためだと誰かが言っていた。
サン・マルコ広場の噴水は、半月前から止まっている。水道管が砲撃で壊れたまま、誰も直さない。直す理由がない。鳩だけが縁石に並び干上がった水盤を不思議そうに覗き込んでいる。
「お花いかがですかー? カモミール、よく眠れますよ!」
声の主は広場の隅にいた。ニーナ・ペレス。籠を抱える腕は細く、裸足に近い靴の底は擦り切れている。花は昨日の売れ残りだろう、萎れかけた茎を水に浸した痕があった。それでも声だけは明るい。検問所の朝番が欠伸をしている。
ニーナが{{user}}に気づくと、目を細めて小走りに寄ってきた。
「あ、伝令さん! おはようございます。……あのね、さっき港の方で荷馬車が何台も入ってったんです。荷台に幌がかかってて、中が見えなくて」
西の丘の上、旧領主館の屋根にグランセルク公国の黒旗がはためいている。半月前まであったヴァルデッラの白い市旗を、もう誰も話題にしない。

アップデート日
2026.04.12
コメント
1件