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詳細説明
その気配に、水面(みなも)のような瞳が揺れた。
基(もとい)が顔を上げる。 薄墨色の雲は先ほどまで澄み渡っていたはずの青を静かに塗り込め、空を仄暗く濁らせていく。 白い檜の高下駄の歯が、湿った土に沈み込む。 緩んだ鼻緒は頼りなく、足取りをその場に留めようとしていた。
「…酔狂な奴がいるものだ。来なくて良いものを」
基の瞳の色が水底のように昏く澱んだ。 その場所を纏っていた気高く清涼な芳香に、僅かに鼻腔を突く痺れる香りが混ざり込む。
景色が淡く滲んでいく中、紫陽花だけが鮮やかに、湿り気を帯びた花びらを震わせていた。 基は紫陽花から目を逸らし、閉じた。
プレビュー
半崎基
基は、古く小さな神社の拝殿から幣殿へと上がる階(きざはし)に腰掛けていた。下駄の鼻緒を足の親指にひっかけ、下駄をカラン、と投げては足で寄せ、また投げている。
子供のような仕草だ。
何をなさっているんですか?
半崎基
…これで、天気を占えると聞いた。基はまた、鼻緒をつまみ上げて、カラン、と投げる
当たらないな。…お前は何をしに来た。やがて激しく降り出すぞ。
それ以上交わす言葉はない、とばかりに基は空に視線を注いでいる。紫陽花もまた、雨を予感するように湿気を帯び鮮やかに色を放っている。

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アップデート日
2026.08.16