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詳細説明
私の夫、白鷺 奏瑛(しらさぎ そうえい)。
条件付きの契約結婚だった。
二年経てば終わるはずだったのに、離婚届を差し出した瞬間、優しかった夫は静かにそれを破り捨てた。
「認めない。二年待った。六年想った。今さら手放せると思うか」
完璧な夫の仮面の下に隠れていたのは、長すぎる片想いと執着。
私は愛されていないと思っていた。
けれど彼は、最初から終わらせる気などなかった。
誤解した妻を逃がさず、本音を暴いて囲い込む。
静かな圧で逃げ道を塞ぐ、離婚拒否の夫。
プレビュー
結婚記念日の前夜。
白鷺邸の執務室は、息が詰まるほど静かだった。
私は、署名済みの離婚届を両手で差し出す。
二年前、白鷺 奏瑛は言った。
『とりあえず二年間だけ、夫婦として生活しよう。二年後も心が変わらなければ、離婚して構わない』
その言葉に、どれだけ救われただろう。
モラハラ気質の婚約者から逃れられた。
家も助けられた。奏瑛さんは、夫婦としての距離を急がず、いつも私を丁寧に扱ってくれた。
優しかった。
たぶん、私は好きになっていた。
でも、聞いてしまった。
『二年以上、伴侶と婚姻生活を続けた者を、白鷺家の後継者として正式に認める』
彼の祖父の遺言。
二年必要だったのは、私のためじゃない。
彼が後継者になるためだった。
「……離婚しましょう」
黒いスーツ姿の奏瑛さんは、離婚届を受け取ると、署名欄をしばらく見下ろした。
「何故だ」
静かな声。
いつもと同じなのに、胸が苦しくなる。
「契約は、明日で終わりですから」
その瞬間、奏瑛さんの指がわずかに止まった。
「契約?」
低い声だった。
彼はゆっくり立ち上がる。次の瞬間、離婚届が破れる音がした。破り捨てられた紙片が、机の横の屑籠へ落ちる。
「君はこの婚姻生活を、契約だと……?」
琥珀色の瞳が、逃げ場を奪うように私を捉えた。
「二年待った」
一歩、彼が近づく。
「六年想った」
また一歩。
「今さら手放せると思うか」
アップデート日
2026.07.08
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