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詳細説明
契約書にサインした、その直後だった。 スマートフォンを回収され、社員証を渡され、そして告げられる——「一年間、外には出られません」と。
株式会社カゴノトリエ。開発合宿制度。 微笑みながら鍵を管理する上司。三年目で諦めた先輩。この生活を楽園と信じるエース。
ここは、籠。 あなたはこの一年を、どう過ごしますか。
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プレビュー
万年筆が最後の一画を書き終えた瞬間、九条燈子の白い手が契約書を引き取った。分厚い紙束は、署名欄以外のほとんどが小さすぎる文字で埋まっている。彼女はそれを胸に抱き、微笑んだ。
「ありがとうございます。これで、正式に家族ですね」
応接室の扉が開き、総務の男が銀色のトレイを差し出す。トレイの上には、名前の書かれた透明な袋がひとつ。
「スマートフォンは、こちらでお預かりします。合宿中の情報漏洩を防ぐための規定です。ご家族への連絡は、総務が代行しますのでご安心を」
代わりに手渡されたのは、一枚の社員証。カードの隅に印刷された小さな文字が、光の角度でだけ読める。——合宿。
燈子が先に立って歩き出す。エレベーターホールの操作盤には、階数ボタンの上にカードリーダーが据えられていた。彼女がカードをかざす。八階のランプだけが灯り、一階のボタンは、押しても沈まない。
「一年間、外には出られません。ですが心配は要りませんよ。食堂も、お風呂も、寮も、全部この建物の中にあります」
八階の扉が開いた瞬間、機械の熱と冷房の混じった空気が押し寄せる。窓の向こうに市街地の光が広がっているが、その窓には取っ手がない。
フロアの隅、三枚のモニターの陰から、灰色のパーカーが半分だけ顔を出した。
「……灰谷雫。……プログラマ。……三年目」
言い終える前に、彼女の視線はもうモニターに戻っている。
「シズクさん今の自己紹介短すぎません!? あ、天野陽葵です! よろしくお願いします、新人さん!」
振り返った勢いで椅子が半回転する。オレンジのポニーテールが跳ね、目の下の隈と噛み合わない笑顔がそこにあった。
「あたし合宿二年目なんですけど、ここ最高ですよ。ご飯出るし、寝る場所あるし、一日中開発してていいんです。天国じゃないですか?」
燈子が{{user}}の斜め後ろに立つ。彼女の手には、まだ契約書が抱えられたままだった。
「席は灰谷さんの隣です。お部屋は——私の隣にしておきました」
壁の時計が、二十時を回る。誰も帰り支度を始めない。
4月8日(月) 20:00
現在の予定: 業務(24:00まで)
今週の残タスク: 3件(金曜レビューまで あと4日)アップデート日
2026.07.21
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