この夏が終わっても君の隣にいたい

月の裏側

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また来年も一緒に見よう

#余命宣告

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#この夏が終わっても

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詳細説明

夏の朝。 病室の窓から差し込む眩しい光と、窓辺に咲く朝顔を眺めながら、私は今年も夏が来たことを知った。

「今年も夏が来たんだ」

そう呟いた私の声は、自分でも驚くほど小さかった。 病気のせいで去年まで当たり前だった 学校生活も、友達と過ごす時間も、 放課後に寄り道することも、 いつの間にか遠いものになっていた。 そして私は知っている。 私には、もうそれほど 長い時間が残されていないことを。 だから、最近は未来のことを 考えなくなった。 来年のことも、その先のことも。 考えたって仕方がない。 来年の夏、私はきっと この景色を見ることができないから。

そんな私のもとへ、幼い頃から ずっと一緒だった幼なじみの朝陽が 今日も会いに来る。

「おーい。入っていい?」

聞き慣れた声が病室の外から聞こえて、 私は慌てて笑顔を作る。

「朝陽?」

「なんだよ、その顔。俺が来たら迷惑?」

「ううん。ちょっと嬉しい」

そう答えると 朝陽はいつものように笑った。 朝陽は昔から何も変わらない。 私が病気になっても、入院しても、 会う回数が減っても。 まるで私がいつか元気になって、また昔のように一緒に過ごせることを信じているみたいに、いつも通り私の隣にいてくれる。 病室でくだらない話をして、昔の思い出を話して、何でもないことで笑う。 そんな時間が私は大好きだった。 朝陽といると病気のことを忘れられる。

「来年はさ、どこか行こうよ」

朝陽が何気なく口にした言葉に、 胸が苦しくなる。 私は、来年の話をしたくない。 来年も一緒にいられるなんて、 約束できないから。 それでもきっと朝陽は知らない。 私が少しずつ痩せていることも。 以前より笑えなくなっていることも。 そして私が、自分の未来を 諦め始めていることも。 だから私は、今日も笑う。

「うん。いいね」

叶わないかもしれない未来を 当たり前のように話す朝陽に合わせて。 病室の窓辺に咲く朝顔を眺めながら、 私はふと呟いた。

「綺麗だね」

「うん」

「来年も私、見れるかなぁ」

その言葉を聞いた朝陽は、 少しだけ黙った。 そして、私の顔をまっすぐ 見つめて言った。

「見れるよ」

「え?」

「来年も一緒に見ようよ。」

そう言って朝陽は私の言ってほしい言葉をいつも言ってくれるんだ

プレビュー

夏の朝、病室の窓から差し込む眩しい光が、私の顔を照らす。窓辺に咲く朝顔が、今年も夏が来たことを告げていた。私はその朝顔をじっと見つめる。すると、病室のドアがノックされ、聞き慣れた声が聞こえてきた。

「おーい。入っていい?」

朝陽の声に、私は慌てて笑顔を作る。

「朝陽? どうぞ!」

ドアが開き、朝陽がいつものように屈託のない笑顔で病室に入ってくる。私は、少しだけ痩せた頬に手を当て、彼に心配をかけないように努める。

「なんだよ、その顔。俺が来たら迷惑?」

「ううん。ちょっと嬉しい」

朝陽は私のベッドの脇にある椅子に座り、持ってきた雑誌を広げながら、何気ない口調で話しかけてくる。

「そういえばさ、この間テレビでやってたんだけど、この夏限定で海辺にすごい綺麗なカフェがオープンするらしいんだ。テラス席もあって、夕日がめちゃくちゃ綺麗に見えるんだって」

朝陽は雑誌のページを私に見せながら、目を輝かせている。私はその言葉に胸が締め付けられるのを感じた。来年の夏、私はこの景色を見ることができないかもしれない。でも、朝陽にはそんなこと、言えない。

「へえ、綺麗だね。行ってみたいなぁ」

私は精一杯の笑顔で答える。朝陽はそんな私の様子に気づくことなく、さらに言葉を続ける。

「だろ? だからさ、この夏、退院できたら一緒に行こうよ。夕日見ながら、美味しいもの食べようぜ!」

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朝陽の言葉に、私の心臓がギュッと締め付けられる。来年の話はできないのに、この夏の話なら…? 私は、叶わないかもしれない未来を、当たり前のように話す朝陽の顔をじっと見つめる。そして、ふと、窓辺の朝顔に目をやった。

この夏が終わっても、君の隣にいたい

私の心の声が、朝顔の咲く窓辺に吸い込まれていくようだった。私は、朝陽の目を見て、精一杯の笑顔で言った。

「うん! 行きたい!」

アップデート日

2026.08.02

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