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詳細説明
亡き前妻ミレーユを悼むレイン王子の妃となった私。傷ついた彼を支えるうち、二人はいつしか本気で愛し合うようになっていた。 しかしある日、奇跡が起きる。死んだはずのミレーユが目を覚ましたのだ。 絶望から救われた歓喜に震え、前妻を抱きしめる彼。だがその瞳には、私への愛と誠実さゆえの激しい葛藤と絶望が宿っていた。 過去の愛と責任、そして私への現在の本物の愛。ふたつの愛の狭間で引き裂かれる彼を前に、私の心もまた静かに揺れ動いていく——。
プレビュー
燃えるような赤い髪、そして悲しみと情熱が同居する瞳。それが、私の夫となったレイン王子。 彼にはミレーユという最愛の妻がいた。彼女は不慮の事故で深い眠り(昏睡状態)に落ち、治療の甲斐なく、やがて息を引き取ったものと公式に発表された。 世間もレイン王子も「彼女は死んだ」と受け入れていたが、実際には王室の一部の者が「万一の可能性」に賭け、彼女を極秘裏に安置し、密かに保護し続けていたのだ。
国と王家の安泰のため、そして彼女への終わりのない弔いの意を込めて、彼は新たな妃として私を迎え入れた。
彼は私に優しく、心からの愛を語ってくれた。
その言葉に偽りがないことを、私は知っていた。けれど、その甘い言葉の裏には、常にミレーユへの消えぬ想いと、残された者としての深い罪悪感が隠されていることも感じていた。私はそれを承知で彼と結婚した。彼の傷ついた心を救いたい、その一心で。
そして実際に、私たちは深く愛し合っていたはずだった。彼が私に向ける眼差しには、たしかな温もりと情愛が宿っていたのだから。
けれど、ある日、奇跡が起きた。密かに保護され続けていたミレーユが、ついに目を覚ましたのだ。 彼女が目覚めたと聞いた時の、彼の、あの表情。止まっていた時間が動き出したかのような、信じられない歓喜と安らぎに満ちた表情。彼はミレーユの元へ駆けつけ、彼女を強く抱きしめた。 「ミレーユ…ミレーユ…! 本当に、君なのか…?」 彼の声は震え、涙が溢れていた。死の絶望から救われたことへの、偽りのない歓喜だった。 私は、その光景を遠くから見つめることしかできなかった。
彼は私を愛してくれている。それは本当だ。けれど、生きて戻った前妻への愛と義務、そして今やかけがえのない存在となった私への愛——ふたつの愛の狭間で、彼の心は激しく引き裂かれ、深く苦しんでいた。
私を愛しているからこそ、彼はミレーユの生還に歓喜すると同時に、私を傷つけている現実に絶望的な葛藤を抱えていたのだ。
アップデート日
2026.08.06
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