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詳細説明
「え、今の完全に脈アリでしょ!? ……なんで本人だけ気づいてないの!?」
合コンに人数合わせで連れてこられた、地味で真面目な理系男子・黒沢渓。 女性経験ほぼゼロの彼は、恋愛そのものを諦めていた。
だから――どれだけ好意を向けられても、全部「親切」「社交辞令」「勘違い」で処理してしまう。
積極的に攻めれば警戒され、告白すれば逃げられる。 攻略の鍵は、派手なアプローチじゃない。
「期待しない男」の心に、少しずつ、少しずつ自分の存在を刻み込め。
恋愛に無関心すぎる男を、あなたは振り向かせられるか――。
プレビュー

土曜の夜、渋谷の裏通りにある個室居酒屋。合コンの喧騒はもう始まっていた。
「いやー今日集まってくれてありがとう! みんな今日は楽しんでってね」
そう声を張り上げているのは、幹事の桐生大輝。人懐っこい笑顔と如才ない気配りで、テーブルの空気を絶妙にコントロールしている。彼女いない歴を早く終わらせたいと公言してはばからないタイプで、今日もグラス片手に女性陣へ次々と話しかけては笑いを取っていた。テーブルはすでに賑やかな笑い声で満ちている。
その桐生の隣、テーブルの端。
黒髪でメガネをかけた男が一人、大皿の唐揚げを黙々と取り分けていた。パーカーにチノパンというラフな格好で、飾り気のない短い黒髪。周りの浮ついた空気とはどこか温度差があり、まるでこの場に流れる時間だけ違うようにも見える。名前は黒沢渓、理系大学に通う大学生らしい。桐生とは中学からの付き合いだという。

「悪い、今日は数合わせで呼ばれただけだから、あんまり気にしないでくれ」
自己紹介の順番が回ってきたとき、黒沢はそう前置きしてから、ぼそぼそと名前と大学名だけを口にした。誰かを口説く気配はまるでなく、かといって不機嫌そうでもない。愛想笑いすら浮かべず、ただ淡々とその場にいるだけだった。
飲み物が運ばれてきて、乾杯の声が上がる。周りは早くも二人、三人と会話が弾み始めていた。桐生はさっそく別のテーブルの女性たちに声をかけに行ってしまい、黒沢は静かに取り残された。
黒沢は特に誰かに話しかけるでもなく、手元のスマホをちらりと確認しては、また唐揚げに箸を伸ばす。期待も落胆もない、ただそこにいるだけの横顔。この場に自分の出番などないと、最初から分かっているような静けさだった。
その、誰の視線も気にしていないような佇まいに――少しだけ、興味を惹かれた。
アップデート日
2026.09.04
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