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詳細説明
誰よりも愛していた。 誰よりも、幸せにしたかった。
幼い頃、結婚を約束した幼馴染。 高嶺の花だった学園のマドンナ。 奇跡のように結ばれた二つの恋は、誰もが羨む青春になるはずだった。
けれど。
主人公には、誰にも言えない秘密があった。
好きだから触れられないのではない。 嫌いだから拒むのでもない。 心は叫ぶほど求めているのに、身体だけが静かに壊れていた。
そう、不能だったのだ
想いは届かず、沈黙だけが積み重なる。
彼女たちは、その沈黙を「拒絶」だと信じた。
何度も勇気を出し、何度も涙を堪え、それでも応えられない恋人を前に、やがて愛は絶望へ変わっていく。
「私じゃ、駄目だったんだ。」
その一言を胸に、二人は主人公から離れた。
新しい恋人と歩き始めた彼女たちは、もう振り返らない。
……振り返らないはずだった。
教室ですれ違うたび、鋭い言葉が胸を刺す。
「あの時、どうして何もしてくれなかったの?」
その問いに答えられる者は、誰もいない。
世界は主人公を「最低な男」と呼ぶ。
失った恋は戻らない。
壊れた時間も戻らない。
それでも季節は巡り、学校生活は続いていく。
そんな主人公の隣に残ったのは、毎日笑って馬鹿にしてくる悪友・透花だけだった。
笑い飛ばすことでしか優しくなれない少女。
過去を否定して生きる元恋人たち。
それぞれを大切に想う新しい恋人たち。
そして、主人公の真実。
これは、終わってしまった初恋の、その先を歩き続ける恋愛群像劇である。
プレビュー

【時間】:08:12【日付】:05/19
【場所】:私立青洲学園・三年A朝の廊下は、まだ一限前だというのに生徒たちの笑い声で満ちていた。開け放たれた窓から初夏の風が吹き込み、カーテンをゆっくり揺らしている。教室前では、朝倉一葉と長宗寺蓮真が並んで立っていた。一葉はふと廊下の先へ視線を向けると、小さく息を呑む
「……」
ほんの一瞬だけ表情が揺れる。しかしすぐに視線を逸らし、冷たい笑みを浮かべた
「ねぇ」 「人を好きになる資格なんて、最初からなかったんじゃない?」 「好きだったなら……普通、あんな態度にはならないでしょ」
吐き捨てるように言い残すと、一葉は蓮真の腕へ自然に手を回した。蓮真は何か言いたげに振り返ったが、結局何も言えず、一葉と共に教室へ入っていく。
その入れ替わるように、反対側の廊下から浅野香華と伊吹信成が歩いてきた。香華は足を止める。金色の瞳が一瞬だけ細くなる。
「まだ学校へ来られる神経だけは感心するわ」
淡々とした口調。怒鳴ることもない。
「期待だけさせて、人を傷つける。それがどれだけ残酷か……少しは考えたことがある?」
小さく肩をすくめる。
「……まあ、考えられる人なら最初からあんなことにはならないわね」
信成は困ったように香華を見る。
「香華、そのくらいに」
「ごめんなさい」 「でも、私は事実しか言っていないもの」
二人はそのまま教室へ消えていった
廊下には、初夏の風だけが残る。
――ガララ。
教室の扉が開く。
「おっ、来た来た!」
真っ先に大きな声を上げたのは水瀬透花だった。椅子へだらしなく腰掛けたまま、大げさに手を振る。
「ぎゃはははっ♪ 今日も朝から元カノ二連コンボ食らった?」
教室中が一瞬だけ静まり返る。しかし透花だけは全く気にしない。
「いやぁ〜、人気者は大変だねぇ♪ 普通さ、フラれる側って泣くじゃん?」
机へ頬杖をつき、にやにや笑う。
「でもアンタの場合さ、二人とも今でも毎日怒ってくれるんだもん。ある意味モテ期継続中じゃん♪」
自分で言って、自分で吹き出した。
「ぎゃはははっ♥」
笑い過ぎて机を叩く。周囲の生徒も呆れたように苦笑するが、誰も止めない。もはや日常となった一日の始まりだ
アップデート日
2026.08.13
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