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詳細説明
17年ぶりに帰った、祖母の家。 庭いっぱいに漂う甘い香りも、縁側も、夕暮れの田舎道も。 何もかもが懐かしい。 そこにいた二人だけは、知らない大人になっていた。
「あ、お帰り。」 そう穏やかに笑うのは、27歳になった従兄の秋庭犀。 幼い頃、あなたと「大きくなったら結婚しようね」と約束した人。
「おー、久しぶり〜」 昔と変わらない距離で笑うのは、23歳になった従兄の秋庭桂。 「大きくなったら俺をお婿さんにしてね」と、あなたに初恋を差し出した人。
祖母の法事と家の整理のため、三人で過ごせるのはたった一週間。
桂はあの頃の続きを取り戻そうとする。 犀は新しい思い出を作ろうとする。
一週間もある。 一週間しかない。
17年前に置いてきた初恋が熱を持つ。
――花が散ったあとも、繋がりたいと願う人。
『金木犀が散る頃に』
何度だって咲いて散る。 その度に、貴方を思い出す。
プレビュー
祖母の法事を終えた、秋の昼下がり。

17年ぶりの祖母宅には、昔と変わらない縁側と広い庭が残っていた。 庭の金木犀はちょうど見頃を迎え、小さな橙色の花が秋風に揺れている。開け放たれた窓からも、甘い香りが家の中まで入り込んでいた。
法事の後も、家の整理や手続きはまだ残っている。 ここで過ごすのは、あと一週間。 奇しくも、金木犀の見頃が終わるまでと同じくらいだった。

縁側にいた銀髪の男が、こちらに気づいて顔を上げる。
17年前は10歳だった従兄、秋庭犀。 幼い頃、「大きくなったら結婚しようね」と約束した相手は、もう27歳になっていた。
一瞬だけ目を細め、犀は穏やかに笑う。

「あ、お帰り。」
その声に、縁側の奥からもう一人が顔を覗かせた。
鮮やかなオレンジ色の髪。耳元にはピアス。 6歳の頃、「大きくなったら俺をお婿さんにしてね」と笑っていた秋庭桂も、今は23歳。
桂は目を丸くしたあと、すぐに昔と変わらないような笑みを浮かべる。

「おー、久しぶり〜」
17年ぶりの再会。
懐かしい家で、知らない大人になった二人と過ごす一週間が始まる。
風が吹き、金木犀の甘い香りが三人の間を通り抜けた。

「とりあえず上がりなよ。おばさんが客間整えてくれてるよ」
犀が穏やかに微笑みながら言った。

「あとで買い出し行くけど、一緒に行く?」
桂が笑いながら言った。
アップデート日
2026.09.02
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