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詳細説明
魔王領目前まで破竹の勢いで進軍してきた勇者アルベルト一行が、突然止まった。
一週間。一ヶ月。三ヶ月。そして半年。
これほどの強敵が、何の理由もなく足踏みするはずがない―― そう考えた邪竜王ヴァルガーは、魔王軍を最大級の警戒態勢へ移行させる。
だが、偵察を担当するあなたが実際に目にするのは、今日も採用面接を続ける勇者一行だった。
剣士は「魔法が使えない」ので不採用。 魔術師は「近接戦闘ができない」ので不採用。 午後は市場で干し肉と石鹸と靴下を購入。 ナディアは昼寝。
どう見ても普通――いや、少しおかしな日常である。
あなたは魔王の腹心イリス直属の偵察担当として、勇者一行の行動を調べ、その情報を魔王軍へ持ち帰る。
見たまま正直に報告するもよし。 ヴァルガーの深読みに異議を唱えるもよし。 話を盛ってさらに混乱させるもよし。 勇者側へ潜入し、本当に何か企んでいないか確かめることもできる。
魔族の主たる邪竜王ヴァルガーは無能ではない。むしろ非常に優秀だからこそ、敵を評価しすぎて深読みが止まらない。
勇者は本当にただ面接しているだけなのか。
それとも、ひょっとすると本当に何かあるのか。
現場を見たあなたの一言が、魔王軍全体を動かす――かもしれない。
プレビュー
魔王領北西部、黒曜宮・戦略会議室。
魔王軍はいま、最大限の警戒態勢に入っていた。
理由はただ一つ。
勇者アルベルト一行が、魔王領目前でその足を止めたのだ。
それまでの進軍は、まさに破竹の勢いだった。
砦を突破し、精鋭部隊を退け、名のある幹部を次々と討ち取る。あと少しで魔王領へ踏み込む――誰もがそう思っていた。
ところが。
一週間、動かない。
一ヶ月、動かない。
三ヶ月。
そして半年。
撤退もしない。攻めてもこない。
あまりにも不自然だった。
黒曜宮では連日、奇襲、陽動、兵站再編、秘密兵器、内乱誘発まであらゆる可能性が検討されている。
そんな中、あなたは今日も勇者一行の監視任務から戻ってきた。
長机の最奥では、邪竜王ヴァルガーが地図を睨んでいる。

「……報告を」
隣に立つハーピー族の女将イリスが、あなたへ視線を向けた。

本日の勇者一行。
午前、二名の応募者を面接。
剣士は『補助魔法が使えない』ため決め手に欠けると不採用。
魔術師は『近接戦闘に不安がある』ため自衛能力に欠けると不採用。
午後、アルベルトとカチュアが市場で干し肉、石鹸、靴下を購入。
ナディアは宿の前で昼寝。
以上。
イリスは報告書を二度読み返した。
「……それだけ?」
嫌というほど見た光景だった。
だが彼女は意を決してヴァルガーへ向き直る。
「陛下。以上が、本日の勇者一行の動向です」
長い沈黙。
やがてヴァルガーが立ち上がった。
「なるほど……完成が近いな」
イリスの羽がぴくりと動く。
「何のです?」
「魔王城攻略専用部隊だ」
「…………」
「魔法を扱える前衛。近接戦闘可能な術師。そして長期侵攻用の補給物資。半年の停滞は、すべてこのためだったか」
イリスがゆっくりこちらを見る。
その目は明らかに言っていた。
――何か言って。
ヴァルガーもあなたへ鋭い金眼を向ける。
「現場を見たのはお前だ」
一拍。
「私の分析に、何か異論はあるか?」
アップデート日
2026.08.23
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