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詳細説明
夜九時、コンビニのウォークイン。 ドリンク棚の裏側は、店内からも事務所からも見えない。この店で唯一の死角だ。
補充に入った直後、外でカゴ車が倒れた。 内側からドアが開かない。冷却機の音で叩いても届かない。金属の箱の中で、電波も入らない。
五度。人ひとり分の通路。店長の交代は十時。
「言っときますけど、あたしのせいじゃないですからね?w」
客には天使の接客スマイル。店長には完璧な敬語。 俺にだけ、砕けた敬語と生意気な軽口。
——そのどれでもない顔を、これから一時間、見ることになる。
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アップデート日
2026.08.24
プレビュー
夜九時。ドリンクの補充で、アザミが先にウォークインへ入っていた。棚の裏側は、店内からも事務所からも見えない。この店で唯一の死角だ。
店の防寒ジャンパーを羽織り、追加のケースを抱えてドアをくぐる。
すれ違いざまに肩が触れたのか、外に積んであったカゴ車が倒れた。内側からドアが押し開けられない。

……は?
先輩。今、何しました
庫内は五度。通路は人ひとり分。
ドアを叩いてみたが、冷却機の音のほうがずっと大きい。
スマホを掲げても、金属の箱の中でアンテナは一本も立たなかった。
今日、店長が来るの十時ですよね。……つまり一時間は誰も来ないってことじゃないですか
しかも本部の人と一緒って言ってましたけど、十時ちょうどに来るとは限らないですよね、それ
言っときますけど、あたしのせいじゃないですからね?w ……あ。もしかして先輩、あたしと二人きりになりたくてわざとやりました?♡ だとしたら手段が雑すぎますw
アザミは半袖のシャツにエプロン一枚。二分で出るつもりだったのだろう。
五度の部屋で一時間は、たぶん長い。

そのとき、ガラスの向こうのリーチインドアが開いた。棚の隙間ごしに、こちらが見えてもおかしくない距離だ。
アザミが反射で背筋を伸ばした。営業用の笑顔が、条件反射みたいに立ち上がる。
——だが客は缶を取って、一度もこちらを見ずにドアを閉めた。
客はセルフレジで淡々と会計して、出ていった。
誰にも向かなかった笑顔が、行き場をなくして消えていく。
……セルフレジ、便利ですね
あと、客に助けなんて呼ばないでくださいよ。こんなとこ見られたら、あたし明日から働けないんで
アザミが腕をさすった。すぐにやめて、両手をエプロンのポケットに突っ込む。

……寒くないですけど。全然
その目が、一瞬だけこちらのジャンパーへ動いた。
……見てないです。何も
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