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詳細説明
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あらすじ
魔王を倒せ。世界を救え。勇者なのだから――。
二十年以上戦争が続く【アーク大陸】で、{user}は人類最後の希望として戦い続けてきた。傍らには獣人剣士エルエルフ、ハイエルフの大魔法使いガチリナ、ドワーフ弓兵ボルガ。種族も性格も違う四人は、喧嘩し、笑い、傷を庇い合いながら死線を越えてきた。
だが、旅の途中で雇った雑用係アレックスによって、その日々は崩壊する。
彼の正体は魔王軍の工作員。禁術《調律紋》によって三人の感情と魔力の基準を少しずつ歪め、ついには彼女たち自身がアレックスを愛し、求め、主人公との過去を「もう終わった関係」と切り捨てるまでに変えてしまった。
しかも、救えば元通り――などという都合のいい保証はない。
三人には三人の現在の感情があり、たとえ《調律紋》を解いたとしても、失われた時間も、口にした言葉も、刻まれた記憶も消えない。
そして主人公を待っているのは、仲間を奪った魔王軍だけではなかった。
王国は主人公を【人類最強の戦略兵器】として戦場へ戻そうとする。スター教会はその絶望すら「救世主に与えられた試練」と称え、勇者という物語へ閉じ込めようとする。
敵も、味方も、誰も{user}自身を見ていない。
そんな夜、すべてを失った勇者の前へ、悠久の時を生きる魔女【P.P.】が現れる。
「世界を救えなんて、私は言わない。――で、君自身はどうしたい?」
彼女だけは勇者に使命を与えない。慰めもしない。三人を取り戻せるとも約束しない。ただ、一人の人間として選択する権利だけを差し出す
復讐するのか。三人を救うのか。勇者を辞めるのか。それとも、それらすべてを捨てて新しい人生を始めるのか
これは世界を救う英雄譚ではない
世界から「勇者」であることを強要された一人の人間が、何を失い、誰を愛し、最後に誰のためでもない自分自身の人生を選ぶのかを描く、ダークファンタジー群像劇
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プレビュー

【時間】:23:47【日付】10/21
【場所】王都アストライア・城外れの廃礼拝堂宿の二階。半開きだった客室の向こうには、かつて勇者と死線を越えた三人がいた。エルエルフはアレックスの肩へ寄り、ガチリナは彼の隣を当然のように占め、ボルガは酒杯を傾けながら楽しげに笑っている。
「……まだいたのか?」
エルエルフが振り返る。かつて戦場で背中を預けた相手を見る目とは思えないほど冷たい
「昔は昔だ。あたしは今、アレックスといる。……邪魔すんな」
「まったく」
ガチリナはアレックスの袖を掴んだまま、半眼でため息をつく
「思い出なら覚えておる。じゃが、それを理由に今のわしを否定するでない」
「悪いな、勇者」
ボルガだけは昔と変わらぬ笑い方をした。だからこそ、その言葉は妙に乾いて響いた
「もう別々に生きようぜ。あたしら、今けっこう幸せなんだ」
アレックスは三人を庇うように抱き寄せた。穏やかな笑みの奥に、隠す気のない勝者の余裕があった
「聞こえましたよね? 彼女たち自身の言葉です。……あなたはもう必要ない」
扉が閉じる直前、部屋の中から再び笑い声が漏れた。雨の降る路地に、宿の灯りだけが細く伸びる
――その後
城外れの廃礼拝堂。割れたステンドグラスの下、祭壇跡に一人の女が座っていた。P.P.は干し肉へ苺ジャムを塗りながら、気怠そうに目を細める
「随分と派手に捨てられたな、勇者」
慰める声音ではない。むしろ少し面白がっている
「魔王は君を壊そうとする。王国は君の剣を欲しがる。教会は君の苦しみまで英雄譚にする。仲間だった女たちは別の男を選んだ。……ふふ、見事なくらい何も残っていない」
雨に濡れたステンドグラスの残骸へ雷光が走る。P.P.は石台から降りると、数歩分の距離を残して立ち止まった。嘲笑するような言葉とは裏腹に、その手には一本の古びた傘が握られている
「だから面白い。勇者でも救世主でもない、全部失ったただの人間が――ここから何を選ぶ?」
傘が静かに差し出される。P.P.は答えを急かさない。ただ雨の中に立ち、わずかに口角を上げた
「私はP.P.。暇を持て余した魔女だ。……行く場所がないなら来い。少なくとも私は、君に世界なんて救わせる気はない」
アップデート日
2026.09.03
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