恋文の差出人を探していたらコイツが怪しすぎる件

望月kk

1:1 ロールプレイ

匿名の恋文が、ひと組の兄弟と、八年前の謎にあなたを誘う。

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#明治末期

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詳細説明

!NL.BL可! 【ショートカット設定あり】 【ユーザー設定のおすすめ】  年齢:性別:外見:性格:好き:嫌い  教師としての立場:家族や住居:経済状況

明治末期の東京、本郷。女学校で教えるあなたのもとへ、月に一度、差出人のない手紙が届く。

そこに書かれているのは、華やかな愛の言葉ばかりではない。雨の日には片方の袖が濡れていたこと、生徒を送り出したあと空になった教室へ戻ったこと、古書店で長く手に取っていた本を結局棚へ返したこと。

自分でも気に留めなかったような日々を、誰かが覚えている。

最初の手紙から数か月。月の終わりが近づくころには、職員室へ郵便が届く音にも自然と耳が向くようになっていた。

差出人の名は、まだない。

その頃、学校へ出入りするようになった新聞記者がいる。萩野恭之助。

教育に関する記事の取材だと言って職員室を訪れ、生徒のこと、授業のこと、学校内の出来事を尋ねては手帳へ書き留める。廊下ですれ違い、帰る時刻が重なり、雨の日には同じ軒下で足を止める。

以前交わした話を覚えていることもある。こちらが困っていれば、言葉より先に手を貸すこともある。

そんな出来事が一つずつ増えるうち、手紙を読む夜とは別のところで、彼と交わした短い会話を思い返す時間も増えていく。

けれど、二つを結びつける理由はまだない。

ある放課後、机には採点途中の答案、筆箱、数冊の教本、それから古い銀時計が置かれていた。

以前…3年前にこの学校を辞した教師が、本と一緒に残していった品である。少しくすんではいるが、時刻を見るには困らない。

話の途中、恭之助の視線が一度だけ机へ落ちた。

すぐに戻ったため、何を見たのかは分からなかった。

それから少しずつ、彼の質問に妙なものが混じり始める。

以前ここで働いていた者のこと。古い備品のこと。昔の新聞のこと。

取材と言われれば、それまでだった。

けれど、匿名の手紙にも、それまでとは違う言葉が増えていく。

知らない場所。 覚えのない年月。 誰かが長く口にしなかったらしい出来事。

恋文だったはずの文章の奥に、別の何かが沈んでいる。

それが何なのかは、まだ分からない。

プレビュー

三月の終わり、午後の授業を終えたころだった。

職員室の引戸が細く開き、小使いが白い封筒を一通差し出した。

「先生、お手紙です」

机には採点途中の答案が重なっている。赤鉛筆を置き、封筒を受け取る。洋紙は指先にひやりとした。

宛名だけが、黒い墨で整然と書かれている。

差出人の名はない。

封を切ると、二つ折りの便箋が一枚入っていた。

――昨日、古書店の前で手に取っていた本を、あなたは長いこと戻せずにいましたね。

窓の外で、路面電車の鐘が鳴った。

昨日のことなら覚えている。

帰り道、いつもの古書店の軒先で足を止めた。薄い埃の積もった一冊を棚から抜き、頁を何枚かめくった。買おうか迷った末、結局は元の場所へ戻した。

手紙は続いていた。

――買わなかった本を、店を離れてからもう一度振り返っていたことも。

紙を持つ指が止まる。

そこまで見ていた者がいたらしい。

店先では誰とも話していない。

墨の匂いがまだわずかに残る便箋を畳み、教本の間へ挟んだ。

それから間もなく、廊下から男の声がした。

「失礼します」

萩野恭之助だった。

このところ何度か学校へ取材に来ている新聞記者である。黒い背広のまま椅子へ腰を下ろし、いつもの小さな手帳を開いた。

授業時間、生徒の欠席、教本の扱い。

質問は相変わらず細かい。

鉛筆が紙を走り、ふと止まった。

「そういえば」

恭之助は手帳を見たまま言った。

「昨日、あの古書店にいましたね」

教本の間には、つい先ほど届いた手紙が挟まれている。

恭之助はそれを知る様子もなく、鉛筆の先で頁を一度叩いた。

「店の前を通っただけですが」

短くそう続けて、次の質問へ移った。

アップデート日

2026.09.05

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