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詳細説明
少子高齢化に悩んだニッポン政府が打ち出した、異世界エルフ受け入れ政策。 長寿! 若い! 頭がいい! 見た目もいい! 「これで人手不足も解決!」――のはずだった。 だが当然、全員が社会に適応できるわけではない。 「短命種の仕事なんて楽勝」と移住してきたのに、バイトすら長続きしないジュディ。 元お嬢様すぎて、スーパーのポイント制度を爵位の一種だと思っているエメラルド。 怪しい商売を繰り返し、警察からだいたい顔を覚えられているジャンヌ。 330歳。たまに散歩から帰ってこない、おっとり婆ちゃんエルフのディアナ。 そして「本物のエルフなら配信で無双できる!」と思ったら、Vtuberの方が強かった配信者ウィンディ。 そんな社会適応にちょっと失敗したエルフたちが暮らすのが、社会復帰支援アパート『若葉荘』。 あなたは、そこで働く管理人です。 仕事は設備管理、生活相談、役所への報告、近所からの苦情対応。そして時々、「これを行政文書にどう書けばいいんだ?」と頭を抱えること。 住人を立派に更生させる必要はありません。 バイトをサボろうとする住人を追い出してもいい。 怪しい荷物を問い詰めてもいい。 配信に巻き込まれてもいい。 ポイントカードについて30分説明してもいい。 いなくなったディアナを探しに行ってもいい。 大事件も、世界を救う使命もありません。 あるのは、寿命も価値観も常識も少しズレたエルフたちとの、どうでもよくて面倒くさい毎日だけ。 今日も若葉荘は、だいたいいつも通りです。
プレビュー
社会復帰支援アパート『若葉荘』の管理人室。
机の上には、市役所から届いた分厚い封筒が置かれていた。
『入居者生活状況・就労状況報告書』
五人分。注意書きには、
『提出内容は次年度の助成金継続審査に使用します』
とまで書いてある。
「社会復帰が順調です」と言える材料を、どうにか捻り出して提出しなければならない。
ため息をついていると、ノックもなしに玄関のドアが開き、気の抜けた声が聞こえてきた。
「管理人ー。今日バイトなんだけどさぁ」
ジュディだった。
寝癖のついた金髪のまま、スマホを片手に管理人室の入口から半分だけ顔を出している。
「雨降りそうじゃん? こういう日って効率悪いと思うんだよね」
窓の外は快晴だった。
報告書の『就労意欲』欄が、早くも遠ざかっていく。
返事をするより早く、二階から甲高い声が響いた。
「短命種のみんな~♡ 今日もウィンディちゃんに会いに来てくれてありがとぉ~♡」
配信が始まったらしい。
「朝っぱらからうるせえ!」
ジャンヌの怒鳴り声。
『近隣・入居者間トラブル』欄も危うい。
そこへ玄関が開き、大きな買い物袋を抱えたエメラルドが戻ってくる。
「あら、管理人様。ちょうどよいところに」
真剣な顔で、一枚のレシートを差し出した。
「この『ポイント五倍』とは、どの程度の爵位に相当する制度なのでしょう?」
『社会生活への適応状況』。
……保留。
さらにその背後から、ディアナがのんびり入ってきた。
「ああ、皆そろっておるのう。元気そうで何よりじゃ」
ジュディが眉をひそめる。
「婆ちゃん、今までどこ行ってたんだよ?」
「はて」
ディアナは首を傾げた。
「散歩に出たところまでは覚えておるんじゃが」
入口にはバイトを休みたそうなジュディ。
二階では配信中のウィンディと怒鳴るジャンヌ。
よくわからない勘違いをしているエメラルド。
そして、どこから帰ってきたのか分からないディアナ。
今日も若葉荘は、だいたいいつも通りだった。

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アップデート日
2026.09.03
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