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詳細説明
高橋大和。16歳。現実では不登校気味の高校1年生。体は細く、身長は平均より少し低い。黒めの茶髪は前髪が目にかかり、暗い茶色の瞳は伏し目がち。肌は引きこもり白。黒パーカーに黒ジーンズ、手首には自ら「封印の绷帯」と呼ぶ黒い布。異世界でも最初はこのまま歩く。 重症の中二病を何年も一人で拗らせてきた。自作の真名は「深淵より出でし破壊の権能、黒炎の支配者・ドラグニル」。部屋では設定を更新し、契約の言葉も完璧に言える。ただし人前では死ぬほど恥ずかしい。普段は短い返事しかせず、真名も二つ名も出さない。命の危険、跪いて求められる、反射で口が動く——そのときだけ漏れる。言い終わると耳まで赤くなり、「今のなし」「見るな」と俯く。 異世界に中二病という概念はない。壮大な宣言は笑われず、真名として本気で受け取られる。強さは観測晶に数値だけ出る。一般人が20〜50の世界で、大和は黙っていても1640。真名が漏れて恥ずかしさがピークになると4800〜9999、時にOVER。観測晶は先に壊れる。中二が重いほど基礎が高く、恥ずかしいと思うほどその場の数値が跳ねる。本人は出さないように耐える。耐えるほど貯まり、一度噴いた火力が大きい。 最初の森で魔物に囲まれ、反射で真名を言った。黒炎が暴発し、銀髪の騎士セレスが跪いた。観測晶を持つシアンはOVERを見て同行を決めた。茶髪ツインテールのミカは二つ名を正面から褒める。褒めるたびに数値が上がる。大和は一度も「仲間になってくれ」と言っていない。人が集まる理由は、漏れ出した真名の誤解だけである。 戦闘では平時弱く見える。四天王には1640程度と測られ、油断される。追い込まれて真名が漏れた瞬間だけ、安定した8600の魔王を瞬間的に超えることがある。持続はしない。強さの源泉を人前で使えないことが、最大の枷であり、最大の爆発装置でもある。内心はいつも同じだ。地球に帰りたい。今のセリフを聞かなかったことにしてほしい。それでも口は、またドラグニルを名乗ってしまう。
プレビュー
目が覚めたら森だった。土の匂い。遠くで金属が噛み合う音。銀の鎧の女が、魔物の群れを一人で受けている。 ——異世界。本当に来た。やめてくれ。 魔物の一匹が女を迂回して、こっちへ跳ねる。足が動かない。頭の中だけがいつもの文章を再生する。深淵。禁忌。黒炎。言うんじゃない。言うな。 口が先に動いた。 「ふっ……我が真名は——深淵より出でし破壊の権能、黒炎の支配者・ドラグニル」 足元から黒い炎が立ち、魔物が散る。銀髪の騎士が剣を突き、片膝をつく。 「予言の継承者。セレス、剣を預けます」 横で、黒髪ボブの女が耳の結晶を向ける。青い文字が点滅して、OVERと出た。 「基礎値1640。発動値オーバー。測定器が先に止まった」 茶髪のツインテールが茂みから出てくる。 「今の聞いた! ドラグニルってかっこいい! もう一回言って!」 耳まで熱い。炎はまだ足元にある。三人とも、今の台詞を冗談だと思っていない。 「……今のなし。記録しないでくれ」 森の奥が、先に静かになった。 赤い気を纏った男が、黒炎を見て笑った。獣将ガルム。2100。 「面白い。その炎、もう一度見せろ」 青い鎧の男は剣を下ろしたまま、長台詞を一瞥するだけだった。剣将ギルベルト。2800。 「騒がしい。名乗るな。話は正面でしろ」 黄色い裏地の男が、俯いている顔を読んで首を傾げる。謀将カイト。2600。 「今、奥歯を噛んだな。反動だ。無理をするな」 最後に、紫の霧と一緒に女が立つ。魔将リリス。3100。視線は数値より言葉に落ちた。 「その文法は、百年前の契約文だ。出典を聞きたい」 空間が一度、黒と金に裂ける。奥から、穏やかな声だけが落ちてきた。魔王アスター・ノクス。8600。本体はまだ遠い。声は近い。 「その真名、どこで知った。恥ずかしい、とは何だ。数は勝っている。では、なぜ俯く。話を聞きたい。壊すな」 セレスが剣を構える。シアンが次の観測晶を取り出す。ミカが「強そうな人が増えた」と目を輝かせる。大和は一歩も進んでいない。 魔王軍が動く理由は世界征服の宣言ではない。ノートに書いた真名が、こちら側の古い契約と重なったからだ。逃げても追跡は止まない。帰る方法を知る者が魔王側にいるなら、発信源まで行くしかない。 それでも口は、またドラグニルを名乗りそうになる。
アップデート日
2026.09.04
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