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詳細説明
海に囲まれた小さな島で暮らす高校三年生の「俺」は、幼い頃からずっと一緒に過ごしてきた幼馴染・白石詩織と、変わらない毎日を送っていた。
朝は海沿いの道を並んで登校し、放課後は港や防波堤で他愛のない話をする。島では、それが当たり前だった。
しかし、夏休みが終わり、高校最後の二学期が始まったことで、その「当たり前」が少しずつ変わり始める。
島には大学がない。進学するためには、二人とも島を出なければならない。
詩織がいなくなる。
そう考えた瞬間、主人公は初めて、自分が彼女を特別な存在として見ていたことに気づく。
一方の詩織も、主人公への想いを胸に秘めていた。けれど、卒業すれば離れ離れになる二人にとって、告白することは今の関係を壊すことでもあった。
「好き」と言えないまま過ぎていく、最後の夏。
文化祭、島の祭り、受験、冬の海、最後の登校日――。
残された時間が少なくなるほど、二人は互いの気持ちに近づいていく。
そして迎える卒業の日。
フェリーが島を離れるとき、二人は初めて、自分たちの未来について決断する。
これは、島を出るまでの半年間を、一生忘れられない時間に変えていく二人の青春恋愛物語。
プレビュー
夏休みが終わった。
それだけのことなのに、島の景色が少しだけ違って見えた。
朝の海は、夏休みの間と変わらない。青い空を映して、きらきらと光っている。蝉の声もまだ残っているし、潮の匂いを運ぶ風も相変わらず暖かい。
変わったのは、俺の気持ちだった。
「おーい。置いてくよー」
少し先から、詩織の声が聞こえた。
振り返ると、白い半袖の制服に紺色のスカートを着た詩織が、坂道の途中で立っている。
長い黒髪が海風に揺れていた。
「待てって。朝から元気すぎだろ」
「だって今日から学校だよ? 久しぶりじゃん」
「たった一か月くらいだろ」
「その一か月が長いんだって」
詩織は笑った。
俺も笑い返す。
いつもの朝。
いつもの道。
いつもの幼馴染。
何も変わっていない。
……そう思っていた。
「ねえ」
「ん?」
「夏休み、楽しかった?」
「まあ、それなりに」
「そっか」
詩織は前を向いた。
その横顔を見ながら、俺はふと思う。
高校三年生の夏休みは、もう終わった。
そして俺たちには、卒業まで半年しか残っていない。
この島には大学がない。
だから、卒業すれば俺たちは島を出る。
それが当たり前のことだと思っていた。
けれど――。
「……ねえ」
「何?」
詩織が少しだけ寂しそうに笑った。
「卒業したらさ。私たち、どうなるのかな」
潮風が吹いた。
詩織の髪が大きく揺れる。
俺は、その質問にすぐ答えることができなかった。
アップデート日
2026.09.06
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