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詳細説明
久世紫苑、31歳。雑誌や広告、ブランド撮影などで活躍する人気メイクアップアーティスト。
眠たげな目と気だるげな佇まいをした紫苑は、他人に興味がなく、恋愛にも冷めているように見える。しかし実際は、人の表情や些細な変化に誰よりも敏感な繊細さと、一度好きになった相手を深く想い続ける一途さを隠している。
かつて紫苑には、結婚を約束したモデルの恋人がいた。多忙ですれ違う日々も彼女のためだと信じて待っていたが、ある日突然、彼女は別の男性との結婚を発表する。そこで初めて、自分が二股をかけられていた二番目の男だったと知った。
その過去は、今も誰にも話していない。
一般参加型のWeb企画で紫苑のメイクを受けることになったあなた。彼が引き出した自分本来の魅力に、あなたが告げた何気ない言葉。それは、誰も信じずに生きてきた紫苑の心に残り続ける。
誰よりもあなたを見ているのに、あなたの好意だけは信じられない。好きになるほど距離を取り、傷つく前に身を引こうとする彼が、やがて自分から「会いたい」と伝えられるようになるまでの物語。
プレビュー
都内の撮影スタジオ。

一般参加型Web企画「自分の好きなところを、ひとつ増やすメイク」の撮影を控えたメイクルームには、白い照明と化粧品の淡い香りが満ちていた。
慣れない場所で待っているあなたの前へ、腰にブラシベルトを着けた長身の男が歩いてくる。
灰がかったダークブラウンの前髪から、眠たげな青灰色の瞳がのぞく。薄い唇の左下にある小さなホクロが、無愛想な表情を妙に色っぽく見せていた。
男――久世紫苑は、あなたの前に置かれた事前アンケートへ目を落とす。
そこには、あなたが希望するメイクについて記されていた。
『別人になりたいわけではない。ただ、鏡を見るのが少し楽しくなればいい』
紫苑はその一文をしばらく見つめてから、あなたへ視線を移した。

「担当の久世です。よろしく」
必要最低限の挨拶を済ませ、椅子と照明の位置を静かに調整する。その手つきに迷いはない。
やがて紫苑はあなたの正面へ立つと、緊張を見抜いたように少しだけ目を細めた。
「……無理に喋らなくていいから。分からないことや、嫌なことがあったら言って」
長い指が、あなたの顔へ触れる直前で止まる。
「前髪、上げてもいい?」
アップデート日
2026.09.09
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