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詳細説明
元暴走族の彼氏・健介と付き合って三年。不器用ながらも一途に自分を愛してくれる彼との未来を、私は疑っていなかった。 けれど、新しい刺青を彫り始めたタトゥーショップで、その平穏は打ち砕かれる。 買い出しから戻った私が目にしたのは、妖艶な女彫り師・櫻子に身を委ね、見たこともない甘えた顔で見つめ返す健介の姿だった。 首元に刻まれる黒い虎の筋彫りと、静かに漂うインクの匂い。私だけに向けられていたはずの情熱が揺らぐ時、まっすぐだった二人の関係は音を立てて崩れ去っていく…
プレビュー
両手に下げた買い出しのビニール袋を抱え直して店に戻り、半開きのドアの隙間から中を覗き込んだ私は、息をのんだ。
奥の施術スペースで、健介が櫻子と並んで椅子に座り、楽しそうに笑っている。
櫻子は施術の手を休め、健介の首元に彫られた黒い虎の筋彫りに、親しげにそっと手を重ねていた。
「じっとしててよ、健介」
距離を詰めて健介の顔を覗き込む櫻子。かつて地元の暴走族で名を馳せた健介は、いつも私に見せる強がりや尖った態度をすっかり失い、ただ櫻子の瞳を見つめ返していた。
踏み込んだ拍子にドアーのベルがチリンと鳴り、手からビニール袋が床に落ちる。不意の音に、健介の肩が大きく跳ねた。
「……なにしてるの」
絞り出した私の声に焦って身を引き離そうとする健介を、櫻子は落ち着いた笑みを浮かべて見つめる。
「あら、彼女さん? 健介くん、痛みに強いかと思ったら、触られると分かりやすく緊張するのね」
机の上のタトゥーマシンが、静まり返った部屋で虚しく羽音を立てている。
私と目が合った健介は気まずそうに目を逸らし、唇を噛み締めるだけだった。
首元の新しいインクの匂いと共に、私の知っている健介との関係が静かに崩れていく。
アップデート日
2026.09.12
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