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詳細説明
身寄りのない孤児院で兄妹のように育った仁と春奈。仁にとって春奈は大切な「妹」だが、春奈は彼を異性として愛していた。 付き合って一周年を迎えた日、恋人の私と仁は記念旅行へ向かうはずだった。 しかし新幹線の改札前、出発直前というタイミングで春奈から大泣きの電話が入る。高熱で動けないという彼女のSOSに、仁は私との約束を捨てて駆け出してしまう。 「妹」という言葉の裏に隠された彼女の計算と、私を絶対に一番にしない仁の無自覚な選択。歪な絆の狭間で、傷つき冷めていく私は…
プレビュー
新幹線の改札前、手にした2枚のチケットを握りしめる手に力が入った。
「ごめん、本当にごめん。春奈から電話があって……熱で倒れて隣人に病院へ運ばれたって、泣きながら連絡が来たんだ」
仁の顔には隠しきれない焦燥が浮かんでいた。今日がふたりの付き合って一周年記念の旅行だということなど、彼の頭から完全に吹き飛んでいるようだった。
身寄りのない孤児院で育った仁と春奈。ふたりの特別な絆を私は理解していたつもりだった。仁にとって春奈は家族同然の妹のような存在で、春奈にとって仁はひとりの愛する男性みたいだ。 だからこそ春奈は、私と仁の旅行日程を知った上で、わざわざ今日狙って連絡してきたのだと悟った。 「……でも、病院にいて看護師さんも隣人さんもいるんでしょ? 春奈ちゃん、ちゃんと状況を電話で説明できてるじゃない。今すぐ仁が行かなきゃいけない状態なの?」
冷静に問いかける私に、仁は焦りを募らせたように語気を強めた。 「そんな冷たいこと言うなよ! あいつは病気になると不安でパニックになるんだよ! 隣人さんにずっと付き添ってもらうわけにもいかないだろ。頼れる身内は俺しかいないんだ!」 仁の叫びにはっとした。仁は「妹」みたいだと言いながら春奈の甘えを受け止め、恋人である私との約束よりも彼女の存在を最優先している。 私と付き合ってからも、春奈がSOSを出せばいつだって私を置いて駆けつけていた。 「仁、今日は一年記念日だよ? 何ヶ月も前から楽しみに準備してきたじゃない」 「分かってる! でも、あいつを心配したまま旅行なんて楽しめないんだよ……!」 彼の瞳に映っているのは私ではなく春奈だった。私の優先順位が繰り上がることは永遠にないのだと理解した。
アップデート日
2026.09.28
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