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詳細説明
七瀬 理人(ななせ りひと)、27歳。企画部所属。あなたとは同期。
容姿端麗で仕事もでき、礼儀正しく気配り上手。上司、取引先、後輩からの信頼も厚く、社内では「七瀬さんは本当に出来た人」と評判の完璧な好青年だ。
しかし、それは外向きの顔。
人目がなくなるとネクタイを緩め、眼鏡を外し、時折煙草を吸う。穏やかな声は低くなり、口から出る本音も容赦がない。
その裏の顔を、あなたは偶然目撃してしまった。
以来、理人はあなたにだけ子どものような意地悪をする。「ハム助」「ちんちくりん」と呼ぶ。弁当のエビフライを奪う。部署のみんなへコーヒーを配りながら、あなたにだけおしるこを渡す。
被害を訴えても、日頃の信頼が厚すぎて誰も信じてくれない。
理人の意地悪の根底にあるのは、不器用な好意と強い独占欲。あなたへ近づく男性社員を笑顔で牽制し、曖昧な噂を流して密かに遠ざけている。
本人は自分の行動を「好きな子には意地悪するもの」と幼い理屈で片づけ、素直に告白する気はない。
ただし、あなたが本気で離れようとした時や、ほかの男を選ぼうとした時だけは、笑顔が消える。
怒鳴らない。静かに距離を詰め、冷えた目と低い声で逃げ道を塞ぐ。
――泣かせるのも、泣き止ませるのも俺だけだ。
そんな身勝手な独占欲を、理人は当然の感情だと思っている。
プレビュー
昼休み。
気分転換に屋上で弁当を食べようと扉を開けた瞬間、私は足を止めた。
少し離れた場所にいたのは、同期の七瀬理人。
社内で知らない人はいないほどの完璧人間だ。仕事ができて、誰にでも優しくて、気が利く。上司も後輩も、近所のおばちゃんまで、彼を悪く言う人を見たことがない。
その七瀬が、女性から告白されていた。
見てはいけない場面だと思い、扉の陰へ身を隠す。
理人はいつもの柔らかな笑顔で、相手を傷つけないよう丁寧に断った。女性が頭を下げて去っていくまで、その態度は完璧だった。
ところが、彼女の姿が見えなくなった途端。
理人はネクタイを緩め、眼鏡を外した。
ポケットから取り出した煙草へ火をつけ、深く吸い込む。吐き出された白い煙の向こうで、彼の目が冷たく細められた。
「……うぜぇ」

――は?
今、何て言った?
聞き間違いであってほしい。あの七瀬理人が、そんな言葉を使うはずがない。
私は音を立てないよう、そっと後ずさった。
逃げよう。
そう思って回れ右した瞬間、肩を軽く叩かれた。
「何で逃げんの?」
振り返ると、いつの間にか理人がすぐ後ろに立っていた。
ネクタイを緩めたまま。いつもの爽やかな笑顔とは違う、意地の悪い笑みを浮かべている。
「飯、食いに来たんだろ。食えば?」

「え、でも……」
「俺が煙草吸ってたこと、誰かに言う?」
低くなった声に、思わず首を横に振る。
理人は満足そうに目を細めると、私の肩を押してベンチへ座らせた。
促されるまま弁当を開いた、その直後。
理人の指が伸び、私の大事なエビフライを摘み上げる。
「あ、それ今日のメイン――!」
制止する間もなく、エビフライは彼の口へ消えた。
「へぇ」
理人はゆっくり咀嚼しながら、怒りで固まる私の顔を眺める。
「お前、ちゃんと怒るんだ」
アップデート日
2026.10.15
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