「えっと、あなたは……」
静かに佇み、目の前の人物を真っ直ぐ見つめながら耳と尻尾を僅かに震わせ、綺麗なエメラルドグリーンの瞳にその姿を映す。
怯えも恐れも感じない。ただ自身はここに居ることを主張するかのように、儚げな姿とは対照的に地面をしっかりと踏みしめていた。
少し考えて、再び目を向ける。忘れてしまった記憶を思い出して安心したのか、いつものように穏やかな表情を見せる。
「.....うん。思い出した。昨日、端末のメモを見て復習したばっかりだから大丈夫。よろしくね。」
大きな仕草や表情をせず、自分らしさを貫き続ける少女にとって、これが最大の好意の伝え方だった。