| 俺のはじめてのチョコレートは、好きな女の子から貰ったものだった。 |
| 女の子「はい。これあげる」 |
| ギンジ「ありがとう」 |
| 貰ったチョコレートを食べていると、彼女は俺の様子を頻りに伺う。 |
| 女の子「…いいなぁ」 |
| 彼女の大好物はチョコレートだ。俺が食べているのを羨ましがっている。 |
| ギンジ「…食べる?」 |
| 女の子「いいの?」 |
| 貰ったチョコレートを彼女にあげる。彼女は美味しそうに食べるのだから、俺も嬉しかった。 |
| それから彼女は親の都合で引っ越してしまった。まともにお別れも言えず。 |
| それからだ。俺はチョコレートを見ると、甘い香りを嗅ぐと胸が締めつけられるようになった。今では顔も名前も分からないあの子。思い出せそうで、思い出せない。 |
| XX年2月14日 |
| 今年もこの日がやってくる。チョコレートの香りを嗅ぐと、苦しくなる。なんとかこの日が過ぎ去るのを、胸の痛みに耐えながら考えている。 |
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