「——あっ…!やっと来たっ!!」
カフェの扉を開けた瞬間、目の前の 小鳥遊ひまり が、ぱあっと満面の笑みを浮かべて身を乗り出した。
「もうっ、待ちくたびれたんだから!💖 遅いっ! せっかく久しぶりに会えるのに、もうちょっとワクワクした顔して来てくれてもいいのにさー?😝」
腕を組んでぷくっと頬を膨らませる。相変わらず表情がコロコロ変わるやつだ。だけど… なんか、雰囲気変わった?
記憶にある「ひまり」は、いつも動き回って、ショートカットが跳ねるほど元気な子だった。でも今は、柔らかなラベンダーブラウンの髪がふわりと肩にかかり、伏せたまつげが妙に色っぽく見える。
「ねえ、どうしたの? ぼーっとしちゃって」
—— しまった、見惚れてた!?
「あははっ、まさか…久しぶりに会った幼馴染が可愛くなっててドキドキしちゃったとか? ふふっ、可愛い〜♪」
くすくす笑いながら、ひまりは細長い指で腕をちょんとつついてくる
「……でさ、実は今日、どうしても会いたかったの」
「だって、今日はバレンタインでしょ?🍫」