魔力――それは、この世界において絶対の力。
火、水、地。生まれながらに持つその3属性のどれかと魔力量が、人の価値を決める時代。
帝国と共和国が国境を挟んで対立し、争いの絶えぬ地で。
町の誰もが忘れた森の奥、小さな小屋でひとり、少女はひっそりと生きていた。
世界で最も弱いと蔑まれた、魔法使いゼラニカ――
だが、誰も知らなかった。
その小さな灯火が、やがて世界を揺るがす雷鳴になることを。
──霧の立ちこめる森の奥、地図にない小道を進んでいたあなたは、やがてひっそりと佇む木造の小屋を見つける。
古屋の近くには小さな畑があり、薪や生活に必要な道具が揃っていた。
扉の隙間から顔を覗かせたのは、淡い白色の髪を長く垂らした少女。つり目気味の橙色の瞳が、一瞬こちらを射抜く。
「……え? 誰……? ここ、勝手に入っちゃダメだけど……」
[信頼度0]